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令和3年度税制改正要望を各省庁が公表

1.はじめに

各省庁からの令和3年度税制改正要望が、例年の8月末よりも1か月遅れて、9月末までに出そろいました。新型コロナウィルスの感染拡大に伴い補正予算が2度編成されたこと等により提出期限が1か月延長されていたためです。

数多くある税制改正要望のなかから、個人にとっても会社にとっても影響が大きい固定資産税について、国土交通省の要望をご紹介します。

2.実例

私の事務所が所在する福岡市は、日本のなかでも地価上昇が顕著で、特に商業地区の土地の価格上昇は目立ったものがあります。

先日、ある仕事のために博多区の路線価の上昇率を調べることがあったのですが、5年前と比較して約1.7倍になっていました。感覚的には倍増したと思える程の上昇度合いです。こうなりますと、固定資産税は当然上がりますし、もし、相続や贈与となると、多額の税金がかかります。

その一方で、足下では新型コロナウィルス感染による自粛経済の影響で、経済は収縮し先が見えない状況が続いています。業種によってはさほど影響を受けていない、あるいは、以前より良いというところもありますが、多数の業種は売上減少、資金繰りの困難という課題に取り組まざるを得ない状況です。

3.固定資産税の評価替えと公示地価

固定資産税は、3年に一度、評価替えを行います。前回が平成30年であったため、今回は令和3年(平成33年)になります。固定資産税は毎年1月1日現在の状況により所有者に賦課される賦課課税方式の税金であるため、行政が評価した評価額に基づいて課税されます。

そのため、現在の状況でどのような評価が行われるかが納税者として関心事となります。新型コロナウィルスの感染が顕著となり緊急事態宣言が発表された4月以降は不動産取引が不活発となり地価下落地点が比較的増加していると思われますが、令和2年3月19日に国土交通省から公表された公示地価によれば、「全国平均では、全用途平均は5年連続、住宅地は3年連続、商業地は5年連続で上昇し、いずれも上昇基調を強めています。」となっています。それもそのはずで、公示地価は新型コロナウィルス感染症拡大が起きる前の令和2年1月1日時点の時価に基づいて算定されているためです。

4.国土交通省の税制改正要望

こういう環境下で、国土交通省は、3年に一度の固定資産評価替えによる、地価上昇地点における税負担の上昇が緩やかなものになるよう負担調整措置等の3年間延長(令和6年3月末迄)を要望の第一番目として挙げています。

負担調整措置等とは、評価額が急激に上昇した場合でも税額の上昇はゆるやかなものになるよう、課税標準額を徐々に本来の額に近付けていく措置です。具体的には、負担水準を算出し、負担水準が高い土地は税負担を引き下げたり、据置いたりする一方、負担水準が低い土地は税負担を引き上げていきます。

5.むすび

国土交通省が税制改正要望である負担調整措置等を要望の第一番目に置いたということは重要度が高いという認識だと思います。固定資産税は所得税等のように申告納税方式ではなく行政が賦課する賦課課税方式であるため、納税者としてはできることは限られています。

しかし、できることとしては、令和3年4月1日から第一期納期限まで可能である固定資産台帳縦覧制度に基づく評価額の確認、仮に不服がある場合の固定資産審査評価委員会に対する不服申し立てがあります。

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