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国税庁、「路線価の補正なし」決定

2020年10月30日
国税庁、「路線価の補正なし」決定 

1.はじめに

日本銀行は10月29日に、日本の2020年度の経済見通しを実質GDP成長率マイナス5.5%と公表しました。
これが、どれほど正確に予想しているかどうか分かりませんが、今年7月にはマイナス4.7%と日銀は予想していましたので、さらなる悪化ということになります。
実際の肌感覚としても、業種によっては、かなりの落ち込みを経験し、回復にはほど遠いものがあり、一例としては、ANAの5000億円赤字と社員の異業種への配置転換は異常な経済的苦境を象徴するものだと言えます。
こういう環境下で中小企業の経営者や資産家、あるいは、これから相続をむかえる国民にとって気になるのは、自社株価評価や相続税評価に直結する「路線価」ではないでしょうか。

2.思っていたほど下がらなかった

国税庁は今年7月、令和2年分の路線価を公表し、標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値は1.6%の上昇となりました。しかし、これは今年1月1日時点の評価であり、新型コロナウイルスによる影響前のものです。
そのため、新型コロナウイルスによる景気後退の影響によって広範な範囲で大幅に地価が下落し、令和2年分の路線価が時価を上回った場合には、路線価を補正することを検討するとしていました。
例えば、20%以上の地価下落があったエリアを大まかに定めて補正率を設定するなど、納税者の申告の便宜を図る簡便な方法を幅広く検討していくとしていました。
しかし、国税庁は10月28日に、1月から6月までの相続等については、路線価の補正の対応措置は講じないことを公表しました。理由は、「思っていたほど下がらなかった」からです。
国土交通省が9月29日に発表した7月1日時点の都道府県地価調査(基準地価)において、今年1月以降の半年間の全国平均の地価変動率は、住宅地が0.4%の下落、商業地が1.4%の下落でした。しかも、15%以上の下落地は、全国で6地点に止まりました。
これでは、路線価を補正する理由はないということになります。

3.今後の動向
しかし、コロナ禍で不動産取引が不活発になっている状況では、不動産の実勢価格を把握するのは難しく、取引が止まっているから価格も下がらなかったというだけかもしれません。
そのためかどうか分かりませんが、国税庁は、7月から12月までに広範な地域で20%以上の大幅な下落が確認された場合には、路線価を補正するなどの対応をとることとしています。
今後の国土交通省の基準地価や国税庁独自の調査により地価動向を踏まえた上で、後日、公表の予定です。

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