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書面添付制度の実施状況

書面添付制度の実施状況

1.はじめに

上場会社や会社法上の大会社(資本金5億円以上又は負債総額200億円以上)等は公認会計士による会計監査を受ける必要があります。それは、かなり限られた数の会社に限定され、大多数の会社は会計監査を受けて有価証券報告書等を提出する義務はありません。私たち税理士が日頃接する関与先・顧問先のほとんどは、会計監査の対象とならない会社です。しかし、税理士に与えられた制度として、書面添付制度というものがあり、これが、決算書や申告書に保証を与える機能を持っています。

2.書面添付制度とは

日頃、税理士とお付き合いのある経営者も、書面添付という言葉に接することは多くないと思われます。それは、まだ実施割合が低い、つまり、普及していないという実態があるからです。

それでは、書面添付制度とはいったいどういうものでしょうか。簡単にご説明します。

税理士は申告書に所見も何も添えずに税務代理を行うこともできますが、申告書作成等に関して計算し整理し相談に応じた事項等を記載する書面を添付することもできます。これは、会計期間中に生じた特記事項、勘定科目残高の顕著な増減の理由、新たな取引開始や廃止に関する事項、納税者から受けた税務相談事項等を税務の専門家の立場から具体的に記入するものです。仮に、虚偽を書面に記載した場合は、税理士法上の罰則が課されるため、税理士にとっては資格を賭けた真剣勝負とも言えます。

税理士法上の税務代理権限証書と書面添付を行った税理士に対しては、税務署による事前通知調査の前に税理士に対して意見聴取の機会が設けられ、税理士は意見を述べることができます。そして、意見聴取によって、税務調査の必要性がないと認められた場合には、税理士等に対し「現時点では調査に移行しない」旨を書面で通知することされています。

税理士が調製した書面を国税当局が尊重することによって、税務執行の円滑化が図られ、関与先・顧問先にとっても、税務調査による負担を軽減されることになるわけです。

この書面添付制度は、日本にしかない独特の制度で諸外国にはありません。ある意味で、中小企業の決算書及び申告書に対して税理士が保証を与える制度とも言えます。つまり、独立した公正な立場を堅持する税理士による監査の性質を持っています。

3.実施割合

さて、令和元年の書面添付割合が公表されました。(国税庁実績評価書)
それによると、所得税が1.4%、法人税が9.7%、相続税が21.5%となっており、相続税の実施割合が顕著になっています。相続税の実施割合が高くなっている理由は、相続税の税務調査実施割合が高いこと(約5件に1件)とも関係しているのではないかと思います。所得税は70者に1者、法人税は10社に1社。まだ活用されている制度とは言えないのが実態ではないでしょうか。

弊社ではTKC会計ソフトを使って自計化を行っている関与先・顧問先には書面添付制度の意義をご説明して実施する方針としています。

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