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自然災害の債務整理に新型コロナウィルスの特則

自然災害の債務整理に新型コロナウィルスの特則

1.はじめに

2011年の東日本大震災の後、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会」が「個人債務者の私的整理に関するガイドライン」を公表しました。
同ガイドラインに基づいて作成・成立した弁済計画により債権放棄が行われた場合、1.法人税法上、債権放棄の日の属する対象債権者の事業年度において貸倒れとして損金の額に算入し、2.対象債務者の債務免除益は、所得税法における各種所得の金額の計算上、総収入金額に算入しないということを、一定の留保(具体的な取引等に適用する場合において、異なる課税関係が生ずることがある)を付けて国税庁が認めています。

2.新型コロナウィルス感染症の影響

今年4月頃から顕著となった新型コロナウィルス感染症の影響により、急激な売上減少が引き起こされ、飲食業をはじめかなり広範囲の業種に悪影響が出ています。
そこで、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン研究会」は、自然災害ガイドラインを補完するものとして、新型コロナウィルス感染症の影響を受けた個人債務者の債務整理に関する金融機関等関係団体の自主的自律的な準則として、令和2年10月30日に新型コロナウィルス感染症に適用する場合の特則を策定・公表しました。本年12月1日から適用開始とされています。
参照URL : http://www.dgl.or.jp/covid19/

3.特則の概要

特則の概要として、対象債務者と債権者について確認してみます。

1.対象債務者

次の要件を満たす者となります。
・新型コロナウィルス感染症の影響により令和2年2月1日以前の収入や売上等に比して債務整理開始申出日時点における収入や売上等が減少していることによって、住宅ローンや事業性ローンその他の本件特則における対象債務(令和2年10月30日迄の債務)を弁済することができない又は近い将来において弁済することができないことが確実と見込まれること。
・本特則による債務整理を行った場合に、破産手続や民事再生手続と同等額以上の回収を得られる見込みがあるなど、対象債権者にとっても経済的な合理性が期待できること。

2.対象債権者

特定調停手続により本特則に基づく債務整理が成立したとすれば、それにより権利を変更されることが予定されている債権者を対象債権者としています。主に金融機関やリース会社です。

4.備えあれば憂いなし

私の周りでも多数の方々が持続化給付金等の申請、新型コロナ融資申込、雇用調整助成金申請等、手元資金を厚くするために注力されました。私も微力ながらお手伝いをさせていただきました。今後、新型コロナウィルス感染症の第三波(まさに、本稿を書いている時点で、兵庫県以東で感染者が増加しています)の影響が経済に悪影響を及ぼす場合は、新型コロナ融資を受けていたにもかかわらず事業継続が難しくなる方も出てくるかもしれません。お客様がそうなる前に手を打つのが税理士の役割ですが、万策尽きた場合は、今回のガイドラインを活用するのも一つの手段ではないかと思います。

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