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退職所得課税の適正化

退職所得課税の適正化

1.はじめに

12月10日、自由民主党及び公明党は令和3年度税制改正大綱を公表しました。新聞各社が報道しており、特に、日本経済新聞は3面を使って特集記事を組んでいました。しかし、比較的影響力が強く及ぶと思われる「退職所得課税」については紙面では表れていません。そこで、「退職所得課税の適正化」という項目で議論されている論点についてご紹介いたします。

2.退職所得の課税について(現行)

退職により勤務先から受ける退職手当などの退職所得は原則として次の計算式で計算されます。

(収入金額 - 退職所得控除額※) × 1/2 = 退職所得の金額

※退職所得控除額
勤続年数20年以下 40万円 × 勤続年数
(80万円に満たない場合には、80万円)
勤続年数20年超 800万円 + 70万円 × (勤続年数 - 20年)

ただし、役員等勤続年数(役員等として勤務した期間の年数)が5年以下である人が支払を受ける退職金のうち、その役員等勤続年数に対応する退職金として支払を受けるものについては、平成25年分以後は退職金の額から退職所得控除額を差し引いた額が退職所得の金額になります(上記計算式の1/2計算の適用はありません)。

3.退職所得課税の適正化とは

令和3年度の税制改正大綱では、役員等が5年以下の勤務年数である場合の退職所得1/2計算適用を役員等以外の人にも適用するという案です。ただし、退職所得控除額を除いた支払額300万円までは1/2計算を適用することになっています。

たとえば、61歳で役員を退任して顧問の資格で勤務を継続する人が65歳で退職する場合を検討してみましょう。
現行の制度では退職所得は次のようになります。
1000万円-(40万円×4年)=860万円
860万円×1/2=430万円

税制大綱案では次のようになります。
1000万円-(40万円×4年)=860万円
860万円-300万円+300万円×1/2=710万円

上記の差である280万円が退職所得課税対象額の増加となります。
従って、この退職所得課税の適正化が施行される令和4年度以降に退職する5年程度の勤続年数の従業員(役員退任後の相談役等が想定されます)に対する退職金については、その支給のタイミングを図る必要があると思います。

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