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所得拡大促進税制と人材確保等促進税制

1.コロナによる雇用に対する影響
 新型コロナウイルス感染症の広がりにより、飲食業、旅行業、航空業界、交通業界、アパレル業界等に甚大な悪影響を及ぼしています。希望退職を募集する上場企業も2019年比2.5倍の91社になったと日経新聞が報道していました(12/22)。
 新型コロナウイルスの影響で失業した人は、8万人近くに上っていることが厚生労働省の調査で判明しています。しかし、この数字はハローワークなどを通じて行った調査であるため、実態はさらに多くの失業者が生まれていると推測できます。

2.令和3年度税制改正(経済産業省関係)
このような雇用環境の悪化を受けて、経済産業省が提出した税制改正案のなかに、「所得拡大促進税制の見直し・延長」と「人材確保等促進税制の見直し・延長」があります。

3.所得拡大促進税制の見直し・延長
 所得拡大促進税制は、現行では、「継続」雇用者給与等支給額が前年度比1.5%以上増加し、かつ、「企業全体」の給与等支給総額が前年度以上であることを条件として、給与等支給総額の増加額の15%を法人税から税額控除できます。しかし、この2つの条件のいずれかを満たさずに税額控除を受けられないことが多々あります。
 見直し・延長案では、「継続」要件がなくなり、企業全体の給与等支給総額が前年度以上であることだけが条件となります。その上で、2年間延長(令和5年3月31日までに開始する事業年度が対象)されます。条件緩和によって対象企業は確実に増えます。給与増加額の15%相当を国が補助する効果がありますので、雇用を維持するインセンティブが働くと思います。

4.人材確保等促進税制の見直し・延長
 人材確保等促進税制は、現行では、中堅・大企業向けの賃上げ税制であり、継続雇用者給与等支給額が前年度比3%以上増加し、かつ、国内設備投資額が減価償却費の95%以上増加することを条件として、雇用者等給与支給額の増加額の15%を法人税から税額控除できます。
 この制度を、青色申告書を提出する全企業にまで対象を広げて、大幅に見直します。ポストコロナの経営改革の実現のため、新卒・中途採用による外部人材の獲得や人材育成への投資を促進する税制となります。具体的には、新規雇用者給与等支給額が前年より2%以上増加し、雇用者給与等支給額が前年度以上であることを条件として、新規雇用者給与等支給額の15%を法人税から税額控除できます。
 つまり、従業員を増やして給与総額を増加させつつ、新規・中途採用者の給与を2%以上増加させることで、新規・中途採用者の給与額の15%を国が補助するという制度です。
 この制度は、直接的には日本航空や全日空等から社員多数を受け入れた企業に恩恵をもたらしますが、青色申告企業のすべてが対象となりますので、幅広い効果が期待できます。

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