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中小企業の経営資源の集約化に資する税制

1.はじめに
 令和3年度税制改正関連法が3月26日の参議院本会議で可決・成立し、税制改正大綱が一部例外を除き(※)4月1日から施行されました。
 ※「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律案」は継続審議中
 デジタルトランスフォーメーション(DX)やカーボンニュートラルの取り組みを行う企業に対する税制措置、電子帳簿等保存制度の大幅緩和、中小企業のM&Aを促進する各施策が創設されました。
 ここでは、以前にも本ブログで紹介したことがありますが、あらためて中小企業のM&Aを促進する「中小企業の経営資源の集約化」税制についてご紹介します。

2.中小企業の経営資源の集約化に資する税制の趣旨
・生産性向上等を目指す計画の認定を受けた中小企業が、M&Aによって買収した会社の簿外債務や偶発債務等のリスクに対応するための支援を行う。
・M&A後の積極的な投資や雇用の確保を促す。

3.制度の概要
A準備金積立と損金算入
⓵対象
 制度の対象となる会社は次の要件を満たすことが必要です。
・青色申告書を提出する中小企業者
・中小企業等経営強化法の改正法の施行日から令和6年(2024年)3月31日までの間に中小企業等経営強化法の経営力向上計画(※)の認定を受けたもの
 ※計画のなかに、経営資源集約化措置(仮称)が記載される必要があります。措置の内容については現時点では未公開。

⓶損金算入要件
 次の場合に準備金を積み立て損金に算入することができます。 
・認定された経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得(購入による取得に限る)すること
・取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き保有していること
 これによって、M&Aに伴う潜在的リスクに備えることを税制面で支援するものです。

⓷準備金の取崩し
 積み立てた準備金は次の場合には取崩すこととなります。
・取得した株式等の全部又は一部を保有しなくなった場合
・株式等の帳簿価額を減額した場合
 上記の場合に該当しない場合、つまり継続保有の場合の取崩し方は次の通りです。
・積み立てた事業年度終了の日の翌日から5年間は据置。
・その後の5年間で、準備金残高の均等額を取り崩す。

B即時償却又は税額控除の拡充
 上記の準備金積立及び損金算入に加えて投資に関しても税制上の支援があります。
具体的には、中小企業経営強化税制(即時償却又は税額控除(最大10%))の対象に、M&Aの効果を高める設備として「経営資源集約化設備(D類型)」が追加されます。
 「経営資源集約化設備(D類型」とは、「計画終了年度に修正ROA又は有形固定資産回転率が一定以上上昇する経営力向上計画(経営資源集約化措置(仮称)が記載されたものに限る)を実施するために必要不可欠な設備」をいいます。
 今までは、生産性向上設備(A類型)、収益力強化設備(B類型)、デジタル化設備(C類型)でした。

C雇用確保の促進
 上記の準備金積立及び損金算入、即時償却又は税額控除の拡充に加えて、雇用確保の促進も税制上の支援があります。
 M&A後に給与支給総額を対前年比で2.5%以上引き上げた場合、所得拡大促進税制の上乗せ措置の適用により、給与等支給総額の増加額の25%を税額控除できます。通常は上乗せ要件に計画の認定が必要とされていますが、M&A後の給与支給増加の場合は計画の認定が不要とされます。

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